「対韓国排外主義を打ち破ろう」(東京大学支部『決戦』)

対韓国排外主義を打ち破ろう

日韓学生・労働者の国際連帯で、排外・民族主義克服し安倍打倒を!

(2019.09.24 MSL東京大学支部)

 

この1年あまりで日韓関係が急速に悪化している。日本国内には「嫌韓」ムードが広がり、日韓民衆がいがみ合う事態となっている。しかし重要なことは、このような日韓関係の悪化は安倍政権が主犯となって作り上げたものであるということ、そして日韓双方における排外主義の高まりは権力者には得になっても、我々学生や民衆に百害あって一利なしであるということだ。韓国民主労総(労働組合の全国組織)は「反日ではなく No 安倍を」と訴えて、日本の民衆に国境を越えた連帯を熱烈に呼びかけている。韓国民主労総の呼びかけに応え、日本でも「排外主義反対、No 安倍」の声を上げよう。 (文責:みんくるファン)

 

「徴用工問題」を捉えてヘイト煽る安倍政権

韓国大法院(最高裁)は昨年 10 月、植民地支配時代に強制労働させられた元徴用工が日本製鉄(新日鐵住金=当時)に損害賠償を求めた訴訟で、原告勝利の判決を下した。日本企業の下で強制労働させられた人々に対して、日本企業に賠償を命じたのである。安倍政権はこの判決を捉えて極右勢力やマスコミを動員した排外主義キャンペーンを開始した。この排外主義キャンペーンはテーマを変えながらも、いまだに日本中を覆っている。そして、排外主義キャンペーンに乗せられる形で立憲民主党などの「リベラル」すら、判決を非難するありさまとなっている。しかし、歴史的事実をしっかりと見さえすれば、判決への非難がどれほど的外れなものかは明らかである。

歴史的事実は明白~安倍政権の論理破綻  安倍政権やマスコミが「徴用工判決」を非難する論拠は、「1965 年日韓請求権協定で徴用工問題は解決済みであるから、『徴用工判決』は国際協定を破るものだ」というものである。だが、これはまったくの大嘘であり、国際的にも通用しなければ、過去の日本政府の対応とも矛盾する。

まず第一に、原告=元徴用工の求める損害賠償は「未払い賃金を要求するものではなく、日本軍需会社の『反人道的不法行為』に対する『慰謝料請求権』」(判決より)に基づくものである。その上で、韓国最高裁は、こうした不法行為への被害者個人の慰謝料請求権は日韓請求権協定でも消滅していないと断じた。この2点こそが「徴用工判決」の核心であり、これらを知らずに「徴用工判決」を非難したり韓国の対応を批判することなどありえない。

第二に、国家間の条約や協定で個人の慰謝料請求権を消滅させることはできない。これは国際法の常識であり、日本政府も繰り返しその立場を確認してきた。外務省によれば、「日韓請求権協定の意味するところは、日韓両国が国家として持つ外交保護権を相互に放棄したということであり、個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」(1991 年8月 27 日の参議院予算委員会における外務省条約局長=当時の発言)のである。安倍政権は「国際法に照らし合わせてありえない」などと喚いているが、「ありえない」のは安倍政権の主張である。

したがって、今回の判決は「出るべくして出た」正当なものだ。もちろん、日本政府やマスコミは、これらの事実を熟知している。しかし熟知していながら、事実を無視抹殺し、韓国に対するまったく論理破綻した非難を繰り広げている。それは、破産した安倍政権を支える最後の切り札として、排外主義があるからだ。

 

安倍政権の改憲=戦争政治と一体の排外主義煽動

このように歴史的事実を意図的に無視抹殺して行われている対韓国の排外主義煽動は、安倍政権の失政を糊塗し、改憲=戦争政治を推進するためのものだ。

例えば昨年 12 月に発生した「レーダー照射問題」も、安倍政権の思惑によっていわば作り上げられたものだ。当日現場で実際に何が起こったかは、日韓双方の言い分が異なるから明確ではない。しかし重要なことは、本来であれば現場レベルで収まるはずの摩擦を、安倍政権が奇貨と捉えて「事件」となったことにある。安倍首相は「渋る防衛省、安倍首相が押し切る」(時事通信、昨年 12 月 28 日付)と報道されたように、防衛省や自衛隊の反対を押し切って事件当日の動画公開を官邸主導で強行し、韓国に対する憎悪を煽ったのだ。そこに政治的思惑――排外主義=愛国主義を煽ることで政府の失政を糊塗する――があったことは明白だ。

この間の対韓国排外主義キャンペーンは徹頭徹尾、安倍政権の政治的思惑によって成り立っている。いまや耳にすることすらなくなった「アベノミクス」の完全なる破産、株価だけは上がっても庶民の生活は一向に良くならない不況の継続、10 月からの消費増税、問題山積の東京オリンピックへの不満の高まり、年金制度の破産…… こうした政治の失敗を覆い隠し、民衆の不満が安倍政権に向かわないように、外国に逸らすものとして、いまの排外主義があるのだ。

 

排外主義で得をするのは誰か

こうした安倍政権の対韓国排外主義に呼応する形で、韓国の国家主義者や財閥なども「反日」を煽っている。しかし、こうした日韓双方における排外主義の高まりは、学生や民衆には百害あって一利なしだ。

日本における対韓国排外主義で得をするのは、安倍政権や一部の大企業だけである。自らの失政がマスコミで取り上げられることなく済み、いまごろ安倍首相は大喜びしていることだろう。

韓国においては、この日韓関係の悪化を利用して、財閥企業が「経済のために労働者の権利を一部奪うべきだ」などと主張している。輸出入が厳しくなった分、企業は儲けが減ってしまう。だから労働者に対する福利厚生を減らしたり、労働組合活動の権利を制限しなければならないなどと主張しているのだ。まさに韓国財閥企業は、安倍政権の排外主義に完全に便乗する形で、労働者搾取を強化しようとしている。

もう事実は明白だ。「嫌韓」とか「反日」とかで得をするのは、日韓両国の権力者と大企業の経営者(ブルジョアジー)だけである。日韓民衆の利害は共通だ。かつて徴用工として朝鮮人を強制労働に駆り立てた日本の大企業は、21 世紀の現代においては日本の労働者をブラック労働で搾取し、下請けの中小企業を苦しめている。韓国民衆への挑発を繰り返す安倍政権は、経済政策の失敗や消費増税などで日本の民衆を苦しめているではないか。

必要なことは、日韓双方の労働者・学生が、排外主義キャンペーンを断固として拒否し、国境を越えた連帯で共通の敵を打倒することだ。韓国民主労総(労働組合の全国組織)は「不買運動反対」「反日ではなくNo 安倍を」と訴えて、日本の労働者に共に立ち上がることを呼びかけている。日本においても、動労千葉という労働組合が「排外主義反対、韓国民主労総支持」を訴える声明を発した。日本の学生も立ち上がる時だ。

駒場キャンパスに「安倍弾劾、排外主義反対」の立て看板を林立させよう。韓国学生との連帯で、両国の排外主義を乗り越え、共通の敵を倒そう。

9月 27 日の学習会で日韓基本条約への理解を深め、 MSL と共に行動しよう!

動労千葉等が主催し、韓国民主労総も参加する 11月3日の労働者総決起集会に集まり、国境を越えた連帯を社会にアピールしよう! ■

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