「労働運動の「非合法化」を許すな」(東京大学支部『決戦』)

労働運動の「非合法化」を許すな

関西生コン支部を守りぬき、労働運動・労働組合を甦らせよう!

11・3全国労働者総決起集会へ!

(2019.10.28 MSL東京大学支部)

 

「連帯労組関西地区生コン支部(関西生コン支部)」という関西地方の生コンクリート輸送車の運転手などからなる労働組合が、「威力業務妨害罪」や「強要罪」などの疑いで、委員長を筆頭に昨年夏以来のべ87人が逮捕されている。しかし、違法とされている行為の実態は、ストライキや団体交渉といった正当な労組活動である。これは200年以上の歴史を経て確立された労働者の権利そのものに対する攻撃であり、ひいては社会のあり方を変えうる刑事弾圧である。労組活動を刑事罰とすることは、労働運動・労働組合そのものを非合法化するに等しい大攻撃だ。この不当な刑事弾圧をいますぐ止めよう! (文責:みんくるファン)

 

未曾有の労組破壊攻撃

関西生コン支部に対する刑事弾圧(逮捕・起訴)は昨年夏以来、断続的に行われ、いまや逮捕者はのべ87人だ。関西生コン支部と対立する経営者団体や、それに動員されたネトウヨ・レイシスト(差別主義者)などは、この刑事弾圧に欣喜雀躍としているが、逮捕の内実を見ればいかに不当な刑事弾圧かは一目瞭然である。

例えば、ある労働者が会社に対して子どもの保育園入園に必要な就労証明書を出すよう要求したところ、それが「強要罪」にあたる。建設現場での法令違反(建設現場は労働災害が起こりやすく、小さな不手際も労働者の生命にかかわる大事故に繋がりかねない)を指摘する行為が「威力業務妨害罪」にあたる。労働組合としてストライキをしたことが、同じく「威力業務妨害罪」にあたる等々……。しかしそもそも労働組合の正当な活動には刑事罰を科すことができない。憲法・労働組合法に基づいて、行為そのものが一般的に違法であっても犯罪とならない(刑事免責)とされてきた。この権利を無理矢理に覆そうとするものだ。

警察は「関西生コン支部を壊滅させる」と公然と決意表明し、「(一連の逮捕は)警察庁の指示でやっている」と言い放っている。つまり、「関西生コン支部という労働組合を壊滅させよ」と警察庁=国家機関(政府)が指令し、無理やり「犯罪」を作り上げて逮捕しているのだ。

実際、組合員の証言によると、警察は「取り調べ」と称して、「労働組合を脱退すれば釈放するが、労働組合に留まる限りずっと勾留する」と脅迫するなど、まったく「事件の捜査」とは関係のない労働組合攻撃が行われているという。さらに非道な例では、逮捕された組合員の家族を丸め込み、子どもに「お父さん、労働組合を抜けて」などと言わせたという事例もある。関西生コン支部に対する刑事弾圧は、労働組合を潰すという政治目的が先に立って「容疑」を作り上げるという、到底許すことのできない不当弾圧だ。

現在、多くの労働組合は、政府の労働組合破壊政策に屈する形で「第二人事部」=労働者のための労働組合ではなく、会社の立場で労働者を統制する労働組合に変質してしまった。日本社会からは「労働運動」という言葉・概念すら根絶されようとしている。しかし、それに抗して関西生コン支部は、「まっとうな労働組合」として日本社会全体の労働運動の復権を目指して活動してきた。関西生コン支部の闘いは、同じように労働運動の復権に取り組む他の労働組合を鼓舞してきた。こうした関西生コン支部を潰してしまおうというのが、いま行われている弾圧の核心だ。これがこのタイミングで行われていることは、最近の「改憲」をめぐる問題や、各種の市民運動、政権に対する抗議活動、表現活動等に対する弾圧と分けて考えることはできない。

 

労働運動・労働組合とは何か

そもそも労働運動や労働組合とは何か。労働者は経営者に対して弱い地位に置かれている。経営者は労働者の賃金を決定する権限も持つし、労働者の職場での地位を上下させることも、労働者の採用・解雇も決められる。言わば労働者は経営者に命綱を握られている状況にある。しかも、多くの人にとっては、自らが経営者になることなど不可能であり、そのような生殺与奪を握られる状況であっても、労働者として働き、生きていかなければならない。

こうした経営者と労働者との不平等な関係は資本主義社会の成立以来、長らく放置された。会社を所有し多くの権限を持つ経営者も、土地も資本も持たず誰かに雇われない限り生きていけない労働者も、まさに「法の下の平等」ゆえに契約上は対等とされてきたのだ。資本主義化が始まった19世紀のイギリスにおいて経営者は、労働者に対する過酷な労働(例えば16時間労働)を強制し、その結果、労働者の平均寿命は30歳となるほどだった。

だが、こうした悲惨な状況に対して、労働者は200年以上も対抗してきた。一人ひとりの労働者が弱いならば、労働者同士で団結すれば良い。こうして労働組合ができた。労働組合が賃金の引き上げを要求しても経営者が無視するならば、労働者がみんなで一斉に仕事を放棄し経営者に要求を飲ませよう――こうしてストライキがはじまった。一つの会社内だけで争っていても無理がある、政府に労働時間を規制する法律を作らせよう――こうして無制限に許されていた1日の労働時間は徐々に規制されて8時間までとされていった。

もちろん、その過程は決して一筋縄には行かなかった。労働組合を作ることもストライキも、当初は違法だった。関西生コン支部に対する弾圧のように、ストライキは犯罪とされ、労働者のストライキをやめさせるために軍隊が出動し、労働者が虐殺されることも珍しくなかった。だが、そのような「違法な」行動を繰り返す中で、労働者は重要な権利を勝ち取ったのである。

例えば、戦後憲法には労働三権(右コラム参照)が明記され、さらに憲法を補完する労働基準法や労働組合法といった法律でも労働者の権利が明確に擁護されている。労働組合法では刑事免責と共に民事免責も規定され、労働組合としてストライキを行う場合は「雇用契約違反」とならないこととなった。これにより、経営者は「ストライキで会社がストップした、損害賠償を請求する」とは言えなくなったのだ。こうした諸権利は、世界中の労働者が文字通り血を流して闘い取ったものである。 関西生コン支部の防衛を!

 

 11.3労働者集会へ

関西生コン支部に対する未曾有の大弾圧は、こうした日本―世界の労働者が命を賭して勝ち取った歴史的地平の破壊だ。労働運動、労働組合全体を非合法化するも同然の攻撃でもある。いま私たちは数百年間の歴史の転換点にいることを自覚しなければならない。

関西生コン支部を守り抜こう! 関西生コン支部をはじめとする労働組合は来る11月3日に、日比谷公園において全国労働者総決起集会(左要項参照)を呼びかけている。関西生コン支部に対する弾圧への怒りを表す場として、世界の労働組合と連帯して闘う日本の労働組合を支援する場として、労働運動に取り組む労働者から直接「労働運動」を学ぶ場として、そして労働運動の復権を通じてこの日本社会の根底的変革を実現していくための場として、11月3日は全国労働者総決起集会に集まろう。

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