「排外主義・政治弾圧と一体の天皇制を打倒しよう」(京都大学支部)

排外主義・政治弾圧と一体の天皇制を打倒しよう

(2019.11.11 MSL京都大学支部)

新天皇即位への「祝賀」を強制する一大天皇制キャンペーンが、今月14日の大嘗祭を前に頂点に達しようとしている。日本中を覆う天皇礼賛キャンペーンは、安倍や資本家などからなる日本の支配層が政治的意図を持って作り上げたものに過ぎない。日本の支配階級は自らの統治が完全に破綻する中で、労働運動や学生運動に対する政治弾圧と並び、排外主義=差別・戦争と一体の天皇制キャンペーンを煽ることによって、何とか延命を図ろうとしている。天皇制こそ日本支配階級にとって最後の頼みの綱だ。天皇キャンペーン粉砕は、安倍の戦争政治であり、新自由主義打倒と一体の課題だ。排外主義や政治弾圧と一体の天皇キャンペーンを粉砕しよう。

 

排外主義・天皇制・政治弾圧は一体だ

〜安倍政権・新自由主義を支える「三種の神器」〜

新天皇即位への「祝賀」を、国家の力で日本国内のすべての人々に強制する一連の天皇儀式のピークとして、11月14日に大嘗祭が行われようとしている。これに先立ち、9日には皇居前広場で京大総長の山極壽一も参加する「奉祝委員会」(事務局は極右団体の「日本会議」)が主催して「祝賀式典」が行われた。また、10日には東京都心で「祝賀パレード」が行われた。一連の代替わり儀式は、労働者民衆への許し難い侮蔑に満ちた攻撃であり、「災害だろうと関係なく国民こぞって天皇即位を祝え」という国家権力による恫喝にほかならない。そして、これら一連の儀式に約166億円(警備費用などはここに含まれない)の血税が投入されている。

安倍政権は昨年来、韓国を焦点として排外主義を煽っている。また、連帯労組関西生コン支部という労働組合を筆頭に、労働運動・学生運動への弾圧を強めている。これらと天皇制キャンペーンは一体だ。危機にあえぐ安倍政権—日本支配階級にとって、最後の頼みの綱が<排外主義—天皇制—政治弾圧>だ。まさにこの3つは、安倍政権であり新自由主義を救済する「三種の神器」だ。天皇制キャンペーン、排外主義キャンペーン、政治弾圧を一体で粉砕しよう!

 

砂上の楼閣でしかない天皇制

そもそも天皇制は「日本古来の伝統・文化」などではない。天皇制とは、9世紀後半になって世界史的に遅れて資本主義化した日本において、新しい支配階級(藩閥)が自らの統治を正統化し安定させるために作り上げた政治的創作物でしかない。

フランスやアメリカ合衆国などのブルジョアジーは、暴力で旧体制を打倒し、自らの権力を打ち立てた。これに対し、後発資本主義国として擡頭した日本のブルジョアジーは、最初からプロレタリア革命におびえ、革命をやることも革命的理念を掲げることもできなかった。その中で、暴力装置としての常備軍や政治警察・憲兵隊と並ぶ、イデオロギー装置として政府を支える役割を期待されたのが天皇制だった。

しかし、天皇制イデオロギーを日本中に広めるために明治政府は相当な労苦を払わなければならなかった。なにしろ庶民にとって、「権威」とは各地の藩主であり、天皇など存在すら知らない人も珍しくない干支が使われ元号も一般には使用されていなかった。そのような社会を変えるために、「軍人勅諭」や「教育勅語」といった形で、軍隊や学校で天皇を崇拝するよう強制する。明治憲法にも「神聖にして犯すべからず」と明記する。幕藩体制下にあった中間諸団体を解体して、天皇の権威の下に国民を統合する…… こうしたイデオロギーの徹底的な塗り替えによって、天皇制は作り上げられた。

もちろん、暴力装置とイデオロギー装置とは政府にとって一体であって、イデオロギー装置の発動は暴力装置の発動を不可避とする。すなわち、天皇制イデオロギーによる社会の塗り替えとは、それに抵抗する者に対する暴力的抑圧・排除と一体だった。その象徴が「不敬罪」であり、「治安維持法」だ。内村鑑三らキリスト教徒に対する弾圧共産主義者や自由主義者への弾圧、そして学問の世界においても天皇機関説事件のような弾圧が行われたのだ。しかし、天皇制とは、このように天皇制に反対する者への暴力的抑圧・排除の上でしかなりたたない。政府がどんなに天皇礼賛キャンペーンを展開しようと、結局は「非国民」を弾圧することでしか維持できない「砂上の楼閣」に過ぎないのだ。

 

天皇制打倒の展望はある

そして、ここに天皇制を廃絶する展望と可能性がある。日本の労働者民衆は戦前、いったんは天皇制イデオロギー攻撃と、それと一体となった暴力装置の前に破れ、戦争に動員されてしまった。しかし焼け野原という現実を前にした労働者民衆は、戦争終結直後から天皇制打倒の闘いを始めた。軍部や財閥と一体となった昭和天皇ヒロヒト糾弾の声は燎原の火のように広がった。

その闘いは日本の軍国主義支配層と一転して「同盟」を結んだGHQの手によって鎮圧された。他の連合国諸国が天皇を戦犯として裁くことを要求したのに対し、米国は天皇を頂点とする旧日本支配層と結託することで、日本の支配を企んだのだった。そして、そのような米国を「解放軍」と規定し無条件に礼賛した日本共産党の手によっても、天皇制打倒を求める労働者民衆の声は鎮圧されたのだ。

しかし、天皇制打倒を求めた労働者民衆の闘いは、間違いなくあと一歩のところまで到達していた。戦後憲法における「象徴天皇制」は、天皇制打倒を求める労働者民衆の声を恐れて、米国や日本の支配層が譲歩した結果だ。

 

天皇制打倒と一体で政治弾圧粉砕を!

政府がいま天皇制を政治の前面に登場させ、天皇制キャンペーンを煽っているのは、自らの政治支配が崩壊寸前になっているからに他ならない。安倍政権はどういう状況にあるか。日本経済は衰退する一方。「アベノミクス」も破綻し、いまやその言葉すら聞かない。対ロシア交渉も進展しなければ、北朝鮮をめぐる外交からも完全に排除されて金正恩と会談すらできない。日米FTA交渉では押される一方。まさに、あらゆる面において破綻しているではないか!

こうした政治の失敗の中で、安倍政権にとって最後の頼みの綱となっているのが、排外主義や天皇制といったイデオロギー的攻撃と、政治警察を動員した政治弾圧だ。古代は「パンとサーカス」が統治の鍵だと言われた。しかし、もはやパンを提供することすらできない。排外主義=天皇制と、異論を述べる者への弾圧しか政府にとって残されていないのだ。だからこそ、政治弾圧に対する闘い、排外主義に対する闘いと天皇制打倒は一体の課題だ。

安倍政権はいま、連帯労組関西生コン支部という労働組合に対して、労働組合の組織そのものを壊滅させる政治弾圧を仕掛けている。各都道府県警察本部が主導するのではなく、霞が関の警察庁が主導する弾圧だ。その狙いは、一切の労働運動・労働組合運動を非合法化することにある。ストライキは「威力業務妨害罪」、団体交渉は「恐喝罪」や「強要罪」として、労働運動の一切を犯罪に仕立て上げようとしている。また、JRを筆頭に全産業で労働運動・労働組合潰しが激化している。どんなに排外主義や天皇制を煽ろうとも、連帯労組関西生コン支部をはじめ労働者の権利擁護を断固として掲げる労働組合がある限り、安倍政権の戦争政治は貫徹されえない。なぜなら、実際に社会を回しているのは、日々働く労働者だからだ。労働者が排外主義反対・戦争反対を貫く限り、絶対に戦争などできようがない。だからこそ、安倍政権は天皇制イデオロギーや排外主義に与しない労働運動・労働組合を絶滅しようと躍起になっているのだ。

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韓国への排外主義キャンペーン粉砕! 日韓の労働者・学生は連帯して、排外主義を煽る安倍政権を打倒しよう。

連帯労組関西生コン支部への政治弾圧を絶対に許さない! 抗議の声を全力であげよう。

天皇制打倒! 排外主義と政治弾圧と一体で天皇制打倒を労働者民衆が闘いはじめたとき、安倍であり新自由主義の支配は崩壊する。MSL中核派と共に闘おう!

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