<19年 1/15>

(1)恐慌の深化が、ブロック化につながる外交関係の動揺を起こしている

19年冒頭には、米巨大IT企業群GAFA(ガーファ)の一角であるアップルの売上げ下方修正が「アップル・ドミノ」をひきおこし、米、日本、アジア、欧州の世界同時株安をひきおこしている。
それは中国市場の大きさが背景となり、諸帝国主義の独自のブロック化政策が現実化する過程となろうとしている。そしてブロック化の進展がさらに世界経済を破滅に追い込む。

この間、世銀は2019年世界経済全体の成長率を2.9%とへと下方修正した。
中国の12月の製造業購買担当者指数は、好不況の分岐点の割り込みとなった。米の12月の製造業景況感指数も、リーマン金融恐慌以来、約2年ぶり低水準となった。18年は株価が激しく変動しても、為替相場は大きく動かなかったが、今回は連動している。バブル的な株価の浮沈で、大きくは投資家・金融機関同士が殴りあっている状況ではなくなっているということだ。特に、米が日帝に対し、1~2月の新たな貿易協定に通貨安誘導を禁じる為替条項を盛り込んだら、円高に歯止めがかからなくなり、日帝経済は大打撃を受けることになるだろう。

年末・年頭の大暴落に対して、米FRBのパウエル議長は1.4に「景気減速の兆候があれば、利上げペースによる金融引き締め路線を見直す」可能性を示した。これを受けて、ニューヨーク・ダウ工業株平均は急反発している。
パウエルは、米中貿易戦争と中国の減速がもたらす長期大不況にふるえあがっている。世界経済の過剰資本・過剰生産力が基調としてあるかぎり、金融政策は新たな矛盾をつくりだす他はない。「恐慌対策」が国家債務の爆発的上昇を世界中で招いたように。
29年恐慌時と違って、米帝にとってかわる基軸国もないなかでの争闘戦の激化は、激しい勢力図の再編として表れることになる。

米中貿易戦争は終わる要素がない。対中強硬派のナヴァロ大統領補佐官は、昨年夏のナヴァロレポートで「米国の技術的な資産に対する中国の攻撃は最も深刻な問題だ。AIもロボット工学といった最先端産業は雇用を生むだけではなく、どちらの国がこれらの軍事的強みを独占するかを決するからだ」と米帝の本音を言っており、この帝国主義としては正しい認識がトランプ政権の政策として前面に出ている。

(ナヴァロの著作。「米中開戦の時期が遅くなるほど米に不利になる」と結論づけている)

 米国の対中関税引き上げの猶予=米中貿易戦争の休戦90日間が切れるのは3月1日で、進展がなければ米は2000億ドル分の中国製品の関税を10%から25%へ引き上げる。この恐るべき事態で、よりダメージを受けるのは米帝である。中国には発展途上の国内市場にまだ余地があるからだ。
中国は「米帝に今しかけられたら勝てない」という認識はあるだろうが、スターリン主義政権として延命するためには、「核心的利益」の実現による強国化達成を中国労働者階級との関係で放棄できない。そのためには、あくまでも米帝と対抗する軍事力・勢力圏をつくりだす方向に進まざるをえない。

このような米中激突の情勢は、朝鮮半島・東アジア情勢をさらに激動にたたきこむ。1.8~9の4度目の中朝会談には、「第2回米朝会談」が18年中には実現できず、いつになるか不透明となっている「危機」への北朝鮮・中国双方のあせりが表れているだろう。

米は北朝鮮の非核化が不十分だとしており、北朝鮮は先行的に核施設を廃棄しているのに、米が相応の対応をしてくれないと反発し、「非核化」は行き詰っている。そもそも「完全な非核化」には「核技術者の国外追放」すら条件となっており、基本的に飲めない条件だ。米の侵略戦争の口実のための手続きですらある。プロセスが進むと同時にどこかで米が妥協するならまだしも、米中貿易戦争の一段の激化に完全に規定されて不可能となっている。

こうした情勢で、キムジョンウンのソウル訪問もできなくなっている。韓国・ムンジェインもまたこの膠着状態に危機をふかめ、今回の中朝会談にとびつき、「中国の役割」を「高く評価」しているが、これがますます日米韓に亀裂を入れることになる。

 

(2)争闘戦からはじきだされた日帝・安倍政権のあがきは凶暴化する

労働者階級の闘いによって今なお敗戦帝国主義としての制約にあえぐ日帝は、外交上の手が打てず、独自の軍事国家化に突き進み、そのために愛国主義と排外主義を拠り所としようとしている。
海自哨戒機への韓国駆逐艦からの火器管制レーダー照射事件は、韓国海軍の遭難救助行動に対して、爆弾搭載と爆撃可能な海自の最新鋭哨戒機が、挑発的に低空飛行を行ったことが発端である。「低空飛行ではない」という根拠は民間飛行機の基準であり、ごまかしである。
対中国の緊張が高まっているときに、安倍が先頭にたって証拠動画を公開させ、「友軍」である韓国軍との軋轢を辞さない挙に及んでいるのは異常といわざるをえず、どれほど日帝が愛国主義の醸成に必死になっているかが示されている。

この戦争挑発の直接的動機は「徴用工」問題であろう。
韓国大法院による、新日鉄住金への「徴用工」への賠償命令判決の確定・韓国国内にある資産の差し押さえ決定は、戦後70数年にわたって、徴用動員=戦争動員で言語に絶する搾取と弾圧をうけた韓国労働者に日帝が日韓請求権協定をたてに謝罪を含めて、一切なにもしてこなかったことが背景にある。

※そもそも日韓請求権協定の条文には植民地支配の謝罪はいっさいない。歴史の清算を「棚上げ」にしたまま、大日本帝国が育成したパク軍事政権の下、請求権について「完全かつ最終的に解決された」とペテン的言質をひきだしたのだ。さらに日韓請求権協定は、韓国軍の軍事的派兵を日帝が経済的にさえる体制づくりであり、ベトナム戦争の後方支援体制だった。

沖縄に対しては、ますますタガが外れた圧殺をしかけている。辺野古移転をめぐって1・6NHKで安倍は「土砂の投入にあたって、あそこのサンゴを移している」と大嘘をついた。実際に沖縄防衛局が移植したのは土砂投入区域外の絶滅危惧種のオキナワハマサンゴわずか9群体のみで、必要とされる約7万4000群体には手もついていない。この「火消し」に躍起とならざるをえない事態に陥っている。強権は当然ながら、さまざまな方面に「隙」を生じさせるものだ。環境保護のテーマも一体となってますます基地建設反対の闘いを高揚させることはできる。その可能性は芸能人らのやむにやまれぬ決起にも示されている。基地建設をめぐる攻防の最大焦点となる2・24沖縄県民投票に対しては、すさまじい分断攻撃がかけられ、総力戦でめまぐるしい攻防が行われている。

(安倍が大嘘をついた1・6NHK日曜討論)

安倍は、どんなに破綻しようが、凶暴な手も辞さず今通常国会に改憲発議をしようと狙ってくるだろう。すでに通常国会の提出法案を「60法案」と異例の少なさに絞るとしている。通常国会(1・28~)において、19年度予算案の審議が始まる2月中旬ごろから憲法審議会を開いて自民党の4項目の改憲案を国会に提出することを狙っている。

だが上述のサンゴをめぐる問題でもそうだが、早くも危機は爆発している。

JOC会長・竹田恒和の贈収賄は、20年東京オリンピックの不正を決定的にあらわとした。そもそも16年リオオリンピックと20年東京オリンピックは、ひとつながりの不正だ。すでにリオの収賄で、元国際陸連会長ラミン・ディアクと息子、さらにリオの五輪担当者の罪状も確定している。招致過程をめぐって物議がかもされていたように、JOCに贈収賄があることは確実だった。竹田は天皇一族であり、安倍らはこの竹田をかつぎ、電通に招致を丸投げして莫大な不正資金を投入していた。オリンピックは、もはや新自由主義者どもによる国家犯罪イベントである。
招致の出発点から、安倍の「アンダーコントロール」という大嘘で始まったのだ!

厚労省の「毎月勤労統計」のデタラメな調査も発覚した。
この統計を基に給付水準が決まる雇用保険と労災保険の給付額が、本来より少なかった人が延べ約2千人いて、その過少支給の総額は数百億円にのぼる、という。
厚労省は、「働き方改革」法案においても裁量労働制をめぐってデタラメなデータをねつ造していた。また、昨年6月の現金給与総額が前年同月比3.3%上昇となったことについても、大企業の割合を増やすデタラメなすりかえによるものだった。職場生産点における階級的労働運動の推進を徹底的にかちとっていくことが重要である。特に、今年は「働き方改革」法の本格適用へ各職場で就業規則が変わるなどさまざまな矛盾が噴出す年になる。

革命情勢は、客観的にはある。問題は、それを組織して形にするわれわれの力量不足である。


 

<19年,1/9>

(1)米中貿易戦争の本質は、戦後的な「帝国主義対スターリン主義」の延長ではない

貿易戦争(関税戦争をテコとする)の展開について、とりわけ対中国の貿易戦争の展開についてどうとらえるか。
まず、帝国主義論的にとらえて、没落した米――しかし依然としてまだ圧倒的な経済的・軍事的実力を保持している米帝国主義が、その実力・軍事力をむきだしにして戦後世界体制的あり方をみずから蹴破って、世界(と世界経済)を再編・再分割するために実力行使に出たものとしてとらえるべきだ。

ここで留意すべきことは、この米の対中国スタ政策はかつての対ソ連スタ戦略と同一に論じられてはならないということである。

新自由主義の成立・発展は、ソ連スタの崩壊だけでなく、中国スタの「改革開放」につけ入り、取り込んでグローバリズムを展開してきた。戦後的労働者支配・ケインズ主義的経済政策からの単なる転換ではなく、東欧の資本主義化も含め現実の市場の拡大ともセットになって新自由主義は確立していった。ここで「改革開放」下の中国スタへの投資の流れは圧倒的であり、またたく間に中国を「世界の工場」に変貌させたのである。それは中国のWTO加入によってさらに進行し、中国の経済的膨張はついに世界第2のGDP大国へとおしあげるものとなった。
この過程で中国スタは、アメリカの「FAANG」を象徴とするIT巨大産業の形成と連動しつつ、「華為」(ファーウェイ)を先頭にIT産業の一定の大企業群をつくりあげたのである。これはまた、スターリニスト支配体制強化の武器としてもIT化・AI化政策が推進されている。

「中国製造2025」は、こうした今日的な中国的力量をテコにまさにスタ体制の再編・強化と一体で中国を世界的強国へとおしあげていくものとしてある。
もちろん米帝の力量は、まだ中国を上回っている。しかし中国はたやすく圧倒して追い込めるというものでもない。今日の米帝トランプの対中国貿易戦争が、侵略的・戦争的な「経済政策」であることのゆえんだ。

これは帝国主義の不均等発展の法則の典型的なプロセスだ。米中貿易戦争は、世界史が新たな帝国主義的再分割戦の時代としてあると見るべきだ。

結論として。米帝の対中貿易戦争はもはや平時のものではなく、中国スタ体制の転覆を含む戦争的・侵略的本質を持っている。

新たな「鉄のカーテン演説」(18年10月)をするペンス米副大統領

 これにともなう、重要な点をいくつか。

①貿易戦争は、世界第1位と第2位の経済大国の争闘戦として、世界経済への大打撃を与える。08年からの世界大恐慌の進行・深化を促進する。

②中国市場の大きさから、世界の帝国主義諸国がそれぞれ中国との一定の連携をもって米の「自国第一主義」圧力に対抗するだろう。中国をめぐるかたちで諸帝国主義の独自のブロック化政策が現実化する道となる。
たとえば、ドイツは米の今日の対中政策に基本的に同調していない。イギリスや日本も対米協調一辺倒ではすまないだろう。一定の裏の政治が進行しているとみるべきだ。

日米を中心とした「ADB(アジア開発銀行)」を軸とした「インド・太平洋戦略」と、中国を中心とした「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」を軸とした「一帯一路構想」の激突は、このような情勢を示す勢力図を描いている。すでにAIIBのほうが加盟国・加盟地域が多く、G20でAIIBに公式に参加していないのはもはや日米だけだ。

③29年恐慌時と違って、米帝にとってかわる基軸国もないなかでの争闘戦の激化、軍事的対立の激化はまさに泥沼へ向かう。第二次大戦時は、米が事実上の基軸帝国主義となるなかで英帝は組みこまれる道を選択していき、戦争は圧倒的な超大国として米帝を生み出し、世界政治の「軸」を形成した。今回はそれがなく、第一次大戦的な泥沼となっていく。

 

(2)日本帝国主義の戦争国家化への衝動はますます深まる

こうした内外の大情勢のもとで、日帝・安倍政権にとって敗戦帝国主義の制約的現実、とりわけ憲法第9条の制約は決定的な枷だ。今日の日帝・安倍政権の改憲攻撃の目標は世界戦争への日米同盟下の戦争主体としておどりでることである。

つまり改憲=戦争開始という攻撃としてあるということ。改憲後に戦争国家体制がつくられて戦争過程へ、というのではなく、改憲と戦争参戦として同時進行する形になるだろう。

 

(3)大恐慌情勢の現況について

「アップル・ショック」が新年冒頭から世界を覆っている。

1.2に米アップルが、18年10~12月期の売上高予想を1割近く大幅下方修正。NY株式市場につづき、1月2日にアジアの主要株価指数も軒並み下落、中国の上海総合指数は、昨年末終値より1.1%安の約4年1ヶ月ぶりの安値となった。欧州もほぼ全面安だ。
そもそも米中貿易戦争は、米の最先端のみならず、全世界を席巻しているIT・ハイテク産業に波及してきた。すでにダウ平均は、IT株を主因として昨年10月以来約4000㌦下落してきた。「アップル・ショック」は象徴にすぎないのだ。
12月末の中国の景況感(製造業購買担当者指数)は悪化。実質経済成長率の低水準という形で中国経済の減速は示され、世界経済をゆさぶるだろう。ついに中国は、預金準備率ひき下げの金融緩和にふみきり、バブル政策による累積赤字―政府・民間債務はGDP比261%!―を放置せざるをえなくなった。
それでも米は、ライトハイザー通商代表がトランプに「中国の譲歩を引き出すには追加の高関税が必要」と進言しているとおり、米中貿易戦争を継続せざるをえない。「自由貿易」では勝てないからやっているのだから。
他方で、米政府の一部閉鎖問題など国内危機は激化している。トランプは排外主義に頼らざるをえないが、「国境の壁」予算をめぐり、議会の賛成がなければ「政府機関の閉鎖」を「数年でも続ける」とまで言っている。

日本では1.4東京株式市場「大発会」から下げ幅が一時700円超。自動車などの輸出関連、IT関連の下落などで2万円を割る事態となった。
「アベノミクス」のペテンとウソにまみれたバブルは、もはや崩壊が見えている。とくに海外勢の日本株の売り越し額は、31年ぶりの高水準(5.6兆円)。海外投資家は「アベノミクス相場」を見限っている。

では誰が株を買っているのか。国内の個人でも金融機関でもなく、日銀である。上場投資信託(ETF)を通じた日本株の買い入れ額は、実に計6.5兆円。昨年末12月はETF・715億円買い入れでやっと2万円を保ったが、年初からの下落はとめられなかった。日銀はETFの損益分岐点(1万8434円)がせまり、逆に含み損をかかえ破局の段階に入ろうとしている。GPIF(年金積立金管理運用ば独立行政法人)の株価買い支えにも破綻は連動するだろう。
昨年は、世界の株式総額は、85兆ドルから67兆ドルと約2割減。通常は株式と逆に動く債券も下落し、原油などの商品や不動産投資信託(REIT)からさえ資金が流出した。膨れあがった資産が急落し、世界はほとんど金融恐慌と同じ実態となっている。3月の米中貿易戦争の再開は、人為的な株の引き上げにこだわってきた日帝を何よりも追い込むことになる。

 

(4)日帝の改憲・戦争のための排外主義・愛国主義キャンペーンの高まり

もはや「経済」での人気とりが叶わない安倍政権は、中・北朝鮮とともに韓国に対する排外主義・愛国主義のキャンペーンを、メディアをも総動員して展開している。12.20韓国海軍の自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射事件は、日帝・安倍による朝鮮半島への侵略と侵略戦争への策動がもたらしたものだ。このことについていくつか。

①自衛隊は、この火器官制レーダー照射を戦闘行為と断言している。だが、「火器管制用のレーダーの照射を受けても相手の艦がミサイル発射機に装填していない……全く危険でない……」と軍関係者からも出ているなかで、日帝は事態を排外主義・愛国主義による危機突破に利用しようとしている。

②安倍本人が、「証拠」映像公開の直接指示をくだし、戦争挑発の先頭にたっている。そもそも自衛隊自身すら飛び越えて事態が推移している。戦前から日帝の侵略戦争の口実の「実常手段」だ。

③日本は米中関係の戦争的激化のもとで、東アジア全域、とりわけ朝鮮半島から中国への「列島線防衛」と称した軍事展開を、米帝とともにかつてない規模と頻度でおこない、この海域の緊張を高めてきた。

百歩ゆずっても、このただなかで、韓国・駆逐艦に対して、海自・哨戒機が低空飛行など、なんらかの「接近」をおこなったのは事実である。日米安保のもととはいえ、日帝独自の朝鮮半島への侵略的な臨戦態勢のなかで勃発している。

④「徴用工」判決に対して、日本政府が宗主国然とした恫喝・開き直りをしており、それへの反発も当然韓国側の背景としてあるだろう。

⑤実際に日本は大軍拡に突き進んでいる。日本はいまや「敵基地攻撃能力」獲得を目標として「いずも型」護衛艦の「空母」への改修、最新鋭のステルス戦闘機F35を105機購入(全体で147機体制)、射程900キロの巡航ミサイルを保持等々・・・。米軍が沖縄で、初の地上から艦隊を攻撃するミサイル訓練を19年中におこない、さらに自衛隊との共同訓練も行おうとしている。

⑥この事態に、メディアや政治勢力は屈服か沈黙している。われわれは断固として、日帝・安倍の侵略への挑発を弾劾し、排外主義・愛国主義にたちむかい、「国際連帯」と「自国帝国主義打倒」を掲げて改憲・戦争阻止へ進もう。


 

<12/24>

(1)帝国主義の争闘戦は、経済収縮を招きながら破産へ向かっている

トランプの米中貿易戦争は、中国・習近平スターリン主義体制の転覆を目的とする段階となっている。「ハイテク覇権」をめぐる攻防はファーウェイ副社長の逮捕が象徴であるように、ますます激しくなる。アメリカは中国の「国家情報法」による米の技術、特に軍事技術を「盗み取っている」ことを問題にして軍事制裁的に対応している。両国ともに単なる経済競争の次元をこえて国家権力を正面から展開して応酬し合っている。

※ゴーンの再逮捕・勾留延長にもみられるように、このような応酬は米中だけのものでもなくなっている。帝国主義・大国間の争闘戦が次の段階に入っている。

重要なのは、これらむきだしの争闘戦が世界大恐慌を激化させようとしていることである。過剰資本状態下、厳しい利益の確保をめぐる潰しあいの争闘戦から生まれる貿易戦争が世界経済を収縮させ、いっそうの危機を生む構造になっている。

そして世界景気、米経済の「減速懸念」が拡大しているなか、米FRBは12月19日に3ヶ月ぶりの利上げを決定した。これで利上げを打ち止めにするか否かで混迷している。景気減速、株価暴落のリスクを引き受けてでもバブル化をとめなければ巨大な危機を招く。ギリギリの危機に米帝はある。

米ダウ工業株30種は、利上げ後ただちに1年1ヶ月ぶりの安値。12.21まで3日連続の大幅下落となった。1週間のダウ下落幅は1600ドル超とリーマン直後の08年10月以来の大きさとなった。こうした株価下落は、全世界的にハイテク・金融株の失速に顕著となっている。中国などアジア株は金融・ハイテク部門で18年は時価総額で約140兆円分が減った。

米・トランプ政権は、この状況でFRBパウエル長官の解任すら策動しているという。また、米連邦政府の暫定予算が12月21日に失効したため米政府機関の一部が閉鎖された。メキシコ国境の「壁」建設などの予算の強行が引き起こしたものでもあり、米の排外主義・経済の軍事化・経済の崩壊は1セットでますます矛盾を深めていく。

 

(2)日帝の経済政策は破産し、改憲=軍事優先の社会へ安倍政権は突進する

上記の米の株価下落を受け、日本でも日経平均株価はついに2万円を割り込む事態となった。

成長戦略におけるインフラ輸出の要・原発輸出計画は全滅した。イギリス、トルコ、リトアニア、ベトナム、台湾、ヨルダン、アラブ首長国連邦、ことごとく破産・失敗。日本政府が2兆円をこえる税金投入すらもくろんでいたにもかかわらず、ついに最後の場となったイギリスでも破産は見えた。「難しい。もう限界だ」(経団連・中西会長)。

安倍首相の各国を回った「トップセールス」は完全な失敗である。「重要なベースロード電源」として位置づけてきた原発政策は破綻のふちにある。11月末の茨城県議選では電力総連出身候補が敗北し、東海第二原発反対派が大勝したのだ。

12月15~16日のマスコミの一斉世論調査では、安倍不支持が全マスコミ上昇、共同通信・毎日・朝日では不支持が支持を上回った。この間の重要政策では、難民入管法ー73%反対、水道民営化ー55%反対、辺野古土砂投入は反対60%・対話不十分76%。この情勢は通常国会に持ち込まれる。

安倍は、臨時国会閉会直後には異例の記者会見を開いて「2020年は新しい憲法が施行される年にしたい」と述べた。自民党の19年2月の党大会へ向けた運動方針原案で「改憲に道筋をつける覚悟」を明記し、19年を「政治決戦の年」と位置づけた。政府与党も「決戦」を訴えているのである。

 

(3)自衛隊の侵略軍隊化がはっきりと進んでいる

12月18日、「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」が閣議決定された。「従来の延長ではない大胆な見直し」と打ち出し、現行の中期防から2兆8000億円多い、5年で27兆4000億円の投入を決定。

「いずも」型護衛艦の「空母化」は事実となり、最新鋭ステルス戦闘機F35を105機購入(すでに決めていた42機も含まれるので計147機となる)。F35は、1機あたりF35Aで100億円、F35Bは150億円と米史上最も高額な戦闘機であり、メンテナンスなどの高額さも含めて「金食い虫」と呼ばれる。しかも稼動確率はなんと50%という欠陥機で9月に墜落事故を起こしている。国内で動かせるパイロットはわずか3~5人といわれ、こんなに買う必要はブルジョア的にも意味不明である。経済交渉などのための米帝への「献金」としか思えない。もちろんその中身は労働者人民の税金であり、許しがたいことだ。

憲法9条との関係で見れば、攻撃型空母やステルス戦闘機などは完全に「自衛」を踏み越えている。

自衛隊については「人的基盤の強化」を明記し、採用年齢の引き上げなど隊員確保に重点が置かれている。志願者の急激な減少がとまらないからだ。労働者人民は決してこの国を守ることに積極的ではないということだ。

自民党の改憲案で新設する「9条の2」をもって「必要な自衛の措置をとる・・・そのための実力組織」の保持・維持のための転換はすでに、改憲の先取りとして始まっている。

※この状況のなか、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のPⅠ哨戒機に「火気管制レーダー」を数分にわたって照射したという事件が起きた。これは「ロックオン」であり武器使用に準ずる行為だ。不可解なことが起きているといわざるをえないが、問題は、日帝がこれを「徴用工」「慰安婦」問題と結びつけて対韓国の道具にしようと動いていることだ。東アジアにおける米日韓の帝国主義的連携を、米中貿易戦争の軍事対立への昇華が進むなかで積極的に壊しにいくこの動きは極めて自滅的であり、しかしそこまでして排外主義を煽る以外に日本帝国主義は立ち行かないのだ。

(4)世界的反乱はさらに続発する

仏「黄色いベスト」運動は、12月22日で6週間連続となった。さらに欧州全土に同様の動きが拡大している。ハンガリーでは労働法制改悪を「奴隷法」だと弾劾して大規模デモがまきおこっている。

この間、『国際労働運動』で出してきたように、韓国、アメリカ、EU、中国、世界中で反撃は始まっている。日本においても必ずそのときはくる。


 

<12/10>

(1)改憲プランが破産するほど安倍政権は凶暴になる

安倍・自民党は、憲法審査会の12.6開催を先送りし、12.10に幹事懇談会と審査会をおこない、10日会期末以降の閉会中審査に手続きをおこなう、という。つまり結局、通常国会で憲法審査会と国民投票法改悪、自民党案の提案となりつつある。
改憲プランは、大破産している。そうであるがゆえに、独裁と強権をふるって改憲・戦争へと猛突進する以外にない。帝国主義としての延命が、この争闘戦の激化のなかで軍事力を持つことにかかっているからだ。

(2)改憲と一体で、ブルジョアジーの利害の貫徹へ、新自由主義も進む

4・1新制度スタートをいっさいの前提にして、国会を無視する横暴さでもって入管法改悪は参院を強行突破した。ブルジョア民主主義を支配階級自らがもはや容認できない。
技能実習制度のもとで、7割が最賃以下に示される現実、69名の虐殺(そもそも法務省のデータを信じれるのか!)全てを無視して強行するというのだ。デタラメであっても、5年間で34万人の外国人労働者を導入するほど、人口減少―労働力人口の不足は、日帝にとって絶望的危機。
資本主義としての根幹が崩壊することを「現代の奴隷労働」「現代の徴用工」の導入で防ぐためには、労働者階級の分断・排外主義に延命がかかってくる。
また、水道法改悪、漁民法改悪、築地の強制撤去・・・沖縄辺野古基地建設への12・14土砂投入も、名護市の民間企業「琉球セメント」の桟橋を使い、土砂を搬出しようという暴挙。ゼネスト情勢は必ず深まる。

(3)改憲プランが破産しているからといって武装解除は許されない

通常国会は、1月下旬案がでている。依然として流動的だが、1・22~25スイスでの世界経済フォーラム年次総会、前後して訪露―プーチン会談など、「外交」でまきかえして、労働者階級人民の怒りを一定程度沈静化してから通常国会にのぞもうとしてきている。
朝日などは、通常国会・参院選までには、改憲発議は無理といっている。だが7月にも同じムードが流され、安倍は9月に改憲をぶちあげてきたことを忘れてはならない。
参院選挙は、7・4公示、7・21投開票の予定となっているが、今やダブル選挙まで言われている。年末・年始をあけたのは、地方選、参院選だけではないからだろう。

(4)内外情勢について

①米中貿易戦争は、もはや経済争闘戦ではない
トランプ政策としてすすめられている米中貿易戦争とはなにか。
経済大国になった中国は、まぎれもないスターリン主義である。だがソ連とはちがって、強権的なスターリン主義支配を残したまま資本主義化した。
新自由主義は、こうした中国の大変化を背景に成立してきた。資本主義は決して理性的ではないから、中国が経済圏として開かれればその市場にとびついた。08年リーマンショックの時には、中国スターリン主義の4兆元の投資は資本主義の危機を救う形で、中国は帝国主義各国の技術・経済システムを導入し、帝国主義はこれに乗るしかなかった。
帝国主義は中国の4兆元で延命しつつ、米をはじめ製造業の中枢が中国にのりだしたことで急速に国内の空洞化を招いた。米帝をうわまわる帝国主義・大国はないが、もう米帝はどうあっても世界を支配できない。
さらに現在、中国にも大恐慌をのりきる救済手段はない。そのなかで米帝は、自らが海外輸出で暴利をむさぼる対価として技術を差し出したのに、中国にとられたものはとりかえせ、とわめいて帝国主義の侵略の論理を前面にだしている。いまや争闘戦の激化一般ではなく、中国の分割・再分割をめざす侵略戦争の新たな段階に突入している。
日本、EUもますます米帝との矛盾が激化していく。だが中国市場はほしい。EUはブロックもあり、基盤をもっている。だが日本はない。自動車産業は中国で負けたら終わりである。
この争闘戦において軍事力の有無、大きさが争闘戦を決する。具体的に帝国主義の命脈をにぎっている中国への攻撃としておこるだろう。

②世界戦争の危機以上に世界革命のうねりは、根底的に拡大している。
とくに米は、まぎれもなく革命情勢である。ホンジュラスをはじめとする中南米の大量の移民の大行進は、中東・アフリカからのEUへの移民・難民の流入とともに、新自由主義が生み出した世界革命の大群の登場だ。
仏・マクロン打倒闘争は、「黄色いベスト運動」が「ローソク革命」のように高校生も決起して激しくまき起こっている。マクロンは燃料税を撤回したが、新自由主義への怒りとして行動は発展し、とまらない。EU諸国全体にストライキの波がおしよせている。
韓国の12.1全国民衆大会の1万5千人は、「ろうそく革命」を労働者とともに闘った農民、露天商、中小零細業者の団体が再結集した。ムンジェイン政権との対決は新たな段階に入っている。
さらにドイツや日本も支配階級は破綻の淵であり、本質的には革命情勢ー下層だけでなく、上層も今までどおりにやっていけないーである。
帝国主義の矛盾が戦争として実現していくとき、排外主義、愛国主義は、単なる思想攻撃だけではだめで、戦争と戦争体制に実際につっこんでいくことと一体で力をもつ。具体的な「危機」で労働者階級を鎮圧しようとする。

③各国はさらに経済の軍事化と軍事力の強化にむかう。
G20では、トランプはF35をどん欲に売ろうとしているが、そこにとどまらず世界を支配する関係をとりもどそうとあがくだろう。G20の結束は完全に崩壊している。
米は「製造2025をやめろ、技術を盗んだこと認めろ」と迫っている。とんでもない連中だと攻撃して中国脅威論をあおる。それは一定リアリティがあり、実際に中国はムチャクチャなことをやっている。
しかし、習近平は簡単に引き下がらないし、倒れないだろう。中国には膨大な国内市場の拡大の余地があり、IT産業やAI産業が発展する条件・土台がある。米は貿易戦争を簡単にひっこめないだろうが、進行させるほど「鎖国」をするようなものだ。製造業の発展はなく、金融的な浮揚といっても、投資先がないのにどうするのか。
米帝は、中国スターリン主義を打倒、再分割する戦争をする以外に延命ができなくなっている。没落し経済競争では勝てない以上、軍事力と軍事経済をもりあげて矛盾を他国に押し付けるしかないのだ。

④日産ゴーン事件は、帝間争闘戦とともにアベノミクスの破産をつき出している。
「コストカット」「日産リバイバルプラン」のもと、5工場を閉鎖し、リーマンショック後を含めれば、4万人をこえる労働者の首切りを強行してきたのがゴーンだ。この9年間で、ゴーンの報酬は87億円、不記載分は95億円、更にルノーからも年9億5千万円、三菱自動車からも年2億2700万円。

だが、これはゴーンだけの問題ではない。2018年3月期決算では、年間一億円以上の企業役員は240社、538人と過去最高を更新している。
大企業収益と株価のみを成果とする地獄のような現実は、アベノミクスが頼りにしてきた「トリクルダウン論」によって正当化されてきた。労働者階級の生きるための怒りと行動は必ず起こる。


 

<12/3>

(一)危機にあえぐ日本帝国主義はもはや「民主主義」のタテマエを保障できない

入管法改悪案は11.27に衆院本会議で強行採決された。衆院審議はわずか17時間、しかもそのやりとりは「空回し」などまったくデタラメ。
さらに安倍は、G20などの外交日程をくりあげ、12.10に参院の強行に突進している。11.29には憲法審査会を会長の「職権」で開催し、もはや審査会の意義を投げ捨てて12.6に自民党改憲案を提示しようというのだ。
さらに今国会では、水道事業の全面民営化のための水道法改悪、沿岸漁業の漁業権を奪う漁業法改悪に突進しようとしている。むきだしの新自由主義政策だ。

(二)ゆえに、闘う労働運動・学生運動への弾圧―労働者階級側の「力」をつくらせないことに躍起になっている

関生支部弾圧とともに、京大で「建造物不法侵入」で、高田君の起訴・再逮捕、さらに2学生を不当にも起訴。
築地では、移転に反対し営業権を行使して築地で営業を続ける仲卸業者の2社に対して、仲卸業務の全面停止という懲罰的処分を強行した。

(三)米帝トランプ政権が「米国第一」を掲げて対中貿易戦争にのめりこんだことで世界情勢は一変した。世界戦争の危機は差し迫っている

米帝の中国にたいする貿易戦争は、中国スターリン主義体制への対峙・対決、侵略を狙ったものだ。トランプにとっては国内の労働者反乱への排外主義・愛国主義的圧殺のテコであり、さらには米軍事力の再建・強化、経済の軍事化である。軍需産業の基幹部分において中国製品を使っているような現状では、貿易関係を暴力的に断ち切ってでも米帝自身の軍事力を再建しなくてはならないのである。この経済の軍事化と戦争過程への移行こそ、結局は帝国主義的経済の大恐慌に対応する基本コースだ。
トランプが米帝の残存せる経済力と軍事力を米帝の延命をかけて行使する段階にいたったことは、帝国主義間争闘戦が最後は軍事力で決するという段階に入ったことを意味している。

さらにいくつかの重大情勢が進行している。
G20では米・EU・中国・ロシア・日帝、さらにインド、中東サウジ、トルコが激しく入り乱れてまとまらない。G8の没落のなかで広がったG20体制でも、もはや物事を決めることができない。
ウクライナは新たな戦争への突入情勢にある。クリミア半島でウクライナ海軍の艦船をロシアが拿捕し、ウクライナのポロシェンコは、戦争法を発動し臨戦態勢へ。ロシアはミサイル部隊を増強している。
前回述べたとおり、12.19日産会長・ゴーン逮捕もまた、今日の世界恐慌・世界戦争の危機のもとで、帝国主義間の争闘戦の激烈さを示している。

いまや世界戦争の危機は明白だ。この情勢は日帝にとって、その歴史的脆弱性を徹底的に思い知らされる過程にもなっている。経済・外交において独自に動かせる軍事力のない帝国主義など争闘戦の時代に成り立たない。
日帝・安倍の戦後憲法の制約を改憲攻撃の強行でのりきろうとする衝動は、まさにこうした根拠をもっているのだ。9条の破棄こそ、いまや日帝にとって絶対不可欠の課題となり、政治戦略となってきているのである。「改憲への関心」が大衆的になくても、9条の破棄をここでやらなければ、帝国主義として敗北することは支配階級としては明らか。ゆえに、どんなに矛盾的でも、安倍はひたすら改憲を追求してくるとみるべきだろう。


 

<11/27>

*11・21、特別区人事院勧告の実施が見送られた。

*沖縄「辺野古への土砂投入の年内実現が難しい情勢」(朝日11/11)。
「埋め立てる土砂を搬出する港が損壊し、復旧が来年までずれこむ公算大」
来年2月の県民投票と合わせて、情勢はまだまだ動く。

(一)12.19日産会長・ゴーン逮捕は、帝国主義間の争闘戦の激烈さを示している。

日産自動車・ルノー・三菱自動車の3社連合は、99年にルノーに支援を仰いで資本提携してきた経過のなかで、ルノーから日産への出資比率は44%、日産からルノーへの出資比率は15%である。だが現在の日産の販売台数は581万台、ルノーは376万台。三菱自動車は、燃費偽装問題を受けて2016年に日産傘下となり、3社連合では17年自動車販売台数は世界第2位。
こうした状況で今日、ルノー筆頭株主(15%)である仏政府は、ルノーと日産を経営統合し、日産を仏国家傘下に子会社化して、仏製造業の延命と雇用確保に利用しようとした。
だが日帝にとって、自動車産業は死活的な位置をもつ。そこから「日本の側のクーデター」(ルモンド)にうって出た。ルノー側はゴーンのCEO解任をみおくり、日産に敵意をもって対抗している。
さらにこの「クーデター」において、「司法取引」がおこなわれ、日帝権力の「人質司法」がくりだされている。争闘戦の激化のなかで 、資本の利害を国家の利害としておしだすプロセスとなっている。

重要なのは、このゴーン逮捕は、階級闘争の問題だということだ。
そもそも日産・ゴーンは99年以来、日産村山工場を閉鎖し、日産労働者の14%の2万1000人のクビキリを強行、さらにリーマン以降09年にも2万人を削減している。こうした労働者の大量クビキリのうえに日産資本の延命と巨額の報酬をえていたのだ。
それはゴーンだけの話ではない。労働者階級の搾取のうえに「株価連動型」報酬によってとんでもない暴利をむさぼってきたのだ。ほんの一握りのブルジョアシーが、世界の富の大部分を支配する新自由主義の矛盾・腐敗が端的に示されているのが、ゴーンというブルジョアのあり方だった。

(二)パプアニューギニアでのAPEC首脳会議は、米中の激突・非難合戦のはてに、首脳宣言の採択断念においこまれた。採択断念は、1993年のAPEC首脳会議の発足後はじめての異常事態である。

リーマンから10年、いよいよ基軸国・米帝が「米第一主義」をかかげ、これまでのような「協調的」な「国際的枠組み」を破壊する以外に、存立できなくなったことを示している。
11月末のアルゼンチンのG20もまた、各国がその延命をかけた激しい激突の場になることは明らかだ。
それは大恐慌の再爆発と争闘戦・戦争がさらに加速化させる。

世界経済はますます、10月から11月にかけての株価暴落情勢、米中貿易戦争の激化により、急収縮せざるをえない。

(三)日本の株式市場は、NY市場に揺さぶられ、NY市場以上の暴落局面に入った。

きたる日米経済交渉は、日帝の肉と骨をそぎおとすすさまじいものとなる。とくに日帝資本の根幹である自動車産業をめぐる激突となるだろう。日本経済は、衰退・崩壊がせまっている。

7~9月の実質GDPは前期比0.3%減、年率換算でマイナス1.2%というすさまじい落ち込みである。個人消費、設備投資、輸出もマイナス、住宅投資は前年同期で6.4%。上場企業の19年3月期業績見通しは、大幅ダウン。

官製による株価のインチキな維持も限界にきている。
日銀の総資産・約553兆円が、なんと国内総生産(GDP)・約552兆円をこえた。日銀の「異次元緩和」なる「国債の日銀大量購入」で、保有額は約469兆円となる。ETF(上場投資信託)の買い入れは22兆円と限度をこえている。
13年3月末のアベノミクス・異次元緩和直前の総資産・約164兆円から、この5年あまりで約3.37倍に膨れ上がったということだ。安倍=黒田は、にもかかわらず「物価の2%上昇」を大義名分に、金融緩和を継続しようとしている。信用の崩壊は避けられない。
地方銀行では4~9月の連結決算で、7割の地銀で、最終損益が減益・赤字である。本業・不良債権、運用すべて危機的だ。地銀の破綻は「地方の崩壊」を促進させる。

(四)安倍政権は、入管法改悪を、11.27衆院法務委員会・本会議採決を強行してきている。

デタラメな調査が暴かれたことに対する野党4党の抗議欠席につけこんで、野党の質問時間にあたる時間を着席して待つ「空回し」という手法で審議時間をかせいで、強行にもちこむつもりだ。どんなデタラメであろうが、入管法改悪を今国会中に強行しようとしている。11.27衆院で強行し、11.28に参院での審議入り、さらにG20の日程を4日も早くきりあげ、参院で一刻も早く強行しようとしている。

この入管法改悪は、「労働力の受け入れ」「外国人材の受け入れ」というが、外国人労働者を「人間」として見ず、必要がなくなったらただちに使い捨て、日本からたたきだそうというものだ。そもそもこれまでの技能実習制度においても、送り出す国と日本国内にブローカーがいて中間搾取が野放しにされていた。法外な手数料をぶんどり規制もない。金でしばり、金をぶんどる。実習生の「国際貢献」や「技術の移転」などまっかなウソ。日帝政府は、国家の名で悪徳詐欺行為のかぎりを行っていた。この技能実習制度が、そのまま新制度の「特定技能1号」にうつるにすぎず、新制度はもっとひどいものとなるだろう。政府に登録した「支援機関」として、新たに国家お墨付きのブローカーが登場するのだ。戦前の「徴用工」そのものである。

入管法改悪は、オリンピックのためでもあり、日帝経済の絶望的延命のためでもある。とくにオリンピック施設の工事は大破綻している。大手ゼネコンが「濡れてに粟」の収益と搾取をする一方、下請け・孫請けのすさまじい労働力不足、過酷な低賃金と長時間労働を、現代の「徴用工」でのりきろうとするものだ。19年4.1施行が日帝としてもタイムリミットだから追いつめられ、凶暴になっている。

破滅的な方法で外国人労働者から奴隷労働を確保しようとしているが、これは外国人労働者を組織化していくことで国際連帯にとっても決定的闘いとなる。

また、安倍政権は改憲の危機を突破するため、オリンピックに続いて「大阪万博」と、さらに「北方領土返還」のみえすいたアドバルーンをあげている。いずれも国家主義をかりたてる延命策だ。

(五)11.21、民主労総の組合員16万人がゼネストに突入した。

長時間労働と賃金削減をめざす「弾力勤労制」(変形労働時間制)期間拡大阻止、全ての労働者への労組活動権保障・非正規職撤廃、公共部門の非正規職労働者の正規職転換、国民年金改革をかかげた。ゼネストの主軸は金属労組13万人。公共運輸労組からは、約1万人が参加。
ゼネスト決議文で、財閥との癒着を再び強める政府と国会への反撃を宣言。また非正規職公務員が闘いの先頭にたった。