【12月10日】情勢解説

(1)改憲プランが破産するほど安倍政権は凶暴になる

安倍・自民党は、憲法審査会の12.6開催を先送りし、12.10に幹事懇談会と審査会をおこない、10日会期末以降の閉会中審査に手続きをおこなう、という。つまり結局、通常国会で憲法審査会と国民投票法改悪、自民党案の提案となりつつある。
改憲プランは、大破産している。そうであるがゆえに、独裁と強権をふるって改憲・戦争へと猛突進する以外にない。帝国主義としての延命が、この争闘戦の激化のなかで軍事力を持つことにかかっているからだ。

(2)改憲と一体で、ブルジョアジーの利害の貫徹へ、新自由主義も進む

4・1新制度スタートをいっさいの前提にして、国会を無視する横暴さでもって入管法改悪は参院を強行突破した。ブルジョア民主主義を支配階級自らがもはや容認できない。
技能実習制度のもとで、7割が最賃以下に示される現実、69名の虐殺(そもそも法務省のデータを信じれるのか!)全てを無視して強行するというのだ。デタラメであっても、5年間で34万人の外国人労働者を導入するほど、人口減少―労働力人口の不足は、日帝にとって絶望的危機。
資本主義としての根幹が崩壊することを「現代の奴隷労働」「現代の徴用工」の導入で防ぐためには、労働者階級の分断・排外主義に延命がかかってくる。
また、水道法改悪、漁民法改悪、築地の強制撤去・・・沖縄辺野古基地建設への12・14土砂投入も、名護市の民間企業「琉球セメント」の桟橋を使い、土砂を搬出しようという暴挙。ゼネスト情勢は必ず深まる。

(3)改憲プランが破産しているからといって武装解除は許されない

通常国会は、1月下旬案がでている。依然として流動的だが、1・22~25スイスでの世界経済フォーラム年次総会、前後して訪露―プーチン会談など、「外交」でまきかえして、労働者階級人民の怒りを一定程度沈静化してから通常国会にのぞもうとしてきている。
朝日などは、通常国会・参院選までには、改憲発議は無理といっている。だが7月にも同じムードが流され、安倍は9月に改憲をぶちあげてきたことを忘れてはならない。
参院選挙は、7・4公示、7・21投開票の予定となっているが、今やダブル選挙まで言われている。年末・年始をあけたのは、地方選、参院選だけではないからだろう。

(4)内外情勢について

①米中貿易戦争は、もはや経済争闘戦ではない
トランプ政策としてすすめられている米中貿易戦争とはなにか。
経済大国になった中国は、まぎれもないスターリン主義である。だがソ連とはちがって、強権的なスターリン主義支配を残したまま資本主義化した。
新自由主義は、こうした中国の大変化を背景に成立してきた。資本主義は決して理性的ではないから、中国が経済圏として開かれればその市場にとびついた。08年リーマンショックの時には、中国スターリン主義の4兆元の投資は資本主義の危機を救う形で、中国は帝国主義各国の技術・経済システムを導入し、帝国主義はこれに乗るしかなかった。
帝国主義は中国の4兆元で延命しつつ、米をはじめ製造業の中枢が中国にのりだしたことで急速に国内の空洞化を招いた。米帝をうわまわる帝国主義・大国はないが、もう米帝はどうあっても世界を支配できない。
さらに現在、中国にも大恐慌をのりきる救済手段はない。そのなかで米帝は、自らが海外輸出で暴利をむさぼる対価として技術を差し出したのに、中国にとられたものはとりかえせ、とわめいて帝国主義の侵略の論理を前面にだしている。いまや争闘戦の激化一般ではなく、中国の分割・再分割をめざす侵略戦争の新たな段階に突入している。
日本、EUもますます米帝との矛盾が激化していく。だが中国市場はほしい。EUはブロックもあり、基盤をもっている。だが日本はない。自動車産業は中国で負けたら終わりである。
この争闘戦において軍事力の有無、大きさが争闘戦を決する。具体的に帝国主義の命脈をにぎっている中国への攻撃としておこるだろう。

②世界戦争の危機以上に世界革命のうねりは、根底的に拡大している。
とくに米は、まぎれもなく革命情勢である。ホンジュラスをはじめとする中南米の大量の移民の大行進は、中東・アフリカからのEUへの移民・難民の流入とともに、新自由主義が生み出した世界革命の大群の登場だ。
仏・マクロン打倒闘争は、「黄色いベスト運動」が「ローソク革命」のように高校生も決起して激しくまき起こっている。マクロンは燃料税を撤回したが、新自由主義への怒りとして行動は発展し、とまらない。EU諸国全体にストライキの波がおしよせている。
韓国の12.1全国民衆大会の1万5千人は、「ろうそく革命」を労働者とともに闘った農民、露天商、中小零細業者の団体が再結集した。ムンジェイン政権との対決は新たな段階に入っている。
さらにドイツや日本も支配階級は破綻の淵であり、本質的には革命情勢ー下層だけでなく、上層も今までどおりにやっていけないーである。
帝国主義の矛盾が戦争として実現していくとき、排外主義、愛国主義は、単なる思想攻撃だけではだめで、戦争と戦争体制に実際につっこんでいくことと一体で力をもつ。具体的な「危機」で労働者階級を鎮圧しようとする。

③各国はさらに経済の軍事化と軍事力の強化にむかう。
G20では、トランプはF35をどん欲に売ろうとしているが、そこにとどまらず世界を支配する関係をとりもどそうとあがくだろう。G20の結束は完全に崩壊している。
米は「製造2025をやめろ、技術を盗んだこと認めろ」と迫っている。とんでもない連中だと攻撃して中国脅威論をあおる。それは一定リアリティがあり、実際に中国はムチャクチャなことをやっている。
しかし、習近平は簡単に引き下がらないし、倒れないだろう。中国には膨大な国内市場の拡大の余地があり、IT産業やAI産業が発展する条件・土台がある。米は貿易戦争を簡単にひっこめないだろうが、進行させるほど「鎖国」をするようなものだ。製造業の発展はなく、金融的な浮揚といっても、投資先がないのにどうするのか。
米帝は、中国スターリン主義を打倒、再分割する戦争をする以外に延命ができなくなっている。没落し経済競争では勝てない以上、軍事力と軍事経済をもりあげて矛盾を他国に押し付けるしかないのだ。

④日産ゴーン事件は、帝間争闘戦とともにアベノミクスの破産をつき出している。
「コストカット」「日産リバイバルプラン」のもと、5工場を閉鎖し、リーマンショック後を含めれば、4万人をこえる労働者の首切りを強行してきたのがゴーンだ。この9年間で、ゴーンの報酬は87億円、不記載分は95億円、更にルノーからも年9億5千万円、三菱自動車からも年2億2700万円。

だが、これはゴーンだけの問題ではない。2018年3月期決算では、年間一億円以上の企業役員は240社、538人と過去最高を更新している。
大企業収益と株価のみを成果とする地獄のような現実は、アベノミクスが頼りにしてきた「トリクルダウン論」によって正当化されてきた。労働者階級の生きるための怒りと行動は必ず起こる。

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