世界の労働者・学生と連帯し戦争阻止を!(京都大学支部)
米国・イランの全面戦争をいま阻止しているのは、権力者に戦争反対の意思を強制すべく立ち上がっている各国の民衆の行動だ!
日本の大学でも、米国・イラン—全世界の民衆と連帯し、「戦争反対」の思いを行動で可視化して、戦争を望む権力者を民衆の力で抑えよう!
(2020.01.15 MSL京都大学支部)
米軍によるイラン革命防衛隊ゴドス部隊のソレイマニ司令官殺害を機に、中東の戦争危機が急速に進展している。一歩間違えれば大規模な戦争にすら発展しかねない情勢だ。しかし、両国の権力者をして大規模戦争に突入させていない要因は、この情勢の中で続々と立ち上がった米国・イラン—全世界の民衆の「戦争反対」の力だ。米国の指導者もイランの指導者も、民衆を戦争に動員できないという状況ゆえに、大規模戦争への発展に軛(くびき)を課せられている。こうした中で日本も自衛隊の中東派兵によって、この戦争ゲームへの参加を狙っている。全世界の労働者・学生の闘いと連帯し、この日本でも戦争絶対反対・自衛隊派兵阻止の闘いに立ち上がろう。
米軍がイラン革命防衛隊司令官を殺害
年末年始にかけて、米トランプ政権は「イランの攻撃からアメリカ人を守る」などと称して、一方的にイランへの軍事行動を起こした。12月27日と29日には、イラクとシリア国内の親イラン組織を空爆。そして、1月3日には無人機による空爆で、イラン革命防衛隊のソレイマニを殺害した。さらに、イラクの駐留米軍を8500人へと増派することも発表した。
これを受けてイランはソレイマニ殺害への報復を宣言し、8日にはイラク国内にある米軍の駐留する基地2カ所に対して十数発のミサイルを撃ち込んだ。さらに、米軍が攻撃を続けるならアメリカの同盟国であるイスラエルやアラブ首長国連邦のドバイなどに攻撃を加えると発表している。また、核兵器開発に向けてイランの無制限濃縮を開始しはじめた。
こうした中、8日にはイランの首都テヘランでウクライナの旅客機が墜落し、176人の乗員・乗客が全員死亡するという痛ましい事故も発生している。イラン政府は11日になって、革命防衛隊の防空ミサイルによる誤射が原因だと発表した。また、イラクをはじめとする中東諸国に存在するシーア派・親イラン系武装組織も、米国に対する報復を宣言している。
両国の指導者はともに、全面戦争は望まないと表明している。しかし、実際に起こっていることを見れば、全面戦争も十分に想定しなければならない情勢だ。グテーレス国連事務総長も6日時点ですでに、「地政学的な緊張が今世紀最大レベルに達している」と表明している。中東でいま起こっていることを、米国対イランという単純な構図で見ることはできない。イスラエル、イラク、カタール、サウジアラビア、ロシア、トルコ、親イラン系武装組織…… といった多くの国家・団体が絡み合って、いまの中東情勢は成り立っている。そして、そのいずれもが独自の利害関係と思惑とを持って行動している。どこか一つの思惑によって、突然大戦争へと暴発的に発展する危険性は溢れているのだ。
全面戦争を阻止している民衆の力
しかし、こうした緊迫情勢にもかかわらず、米国とイランとの全面戦争はいまのところ勃発していない。これは、3日のソレイマニ殺害を受けて、米国・イラン—全世界で、民衆が次々と「戦争反対」の声を上げているからだ。
米国もイランも、全面戦争の遂行には国民の協力と支持が欠かせない。逆に国民から協力と支持を取り付けられなければ、指導者はその座を——良くて選挙という形で、場合によっては革命という形で——追われることとなる。トランプ自身、オバマ政権による中東介入を批判したことで、厭戦ムードの高まっていた米国民の支持を得た。イランでも反政府デモが以前より頻発しており、そのような国内情勢で戦争に突入すれば、革命すら起こりうる。歴史的に見れば、第一次世界大戦に際して、ロシアの社会主義革命を筆頭に各国で革命が起こり、既存の政府が打倒されている。
それでは、米国やイランの民衆は戦争に協力しているのか。答えはNOだ。米国でもイランでも全世界で、民衆が戦争反対の緊急行動に立ち上がっている。また、どこの国でも学生がその最先頭に立っていることも、見落とせない事実だ。米国では、ソレイマニ殺害の翌日から、全米各地で緊急の反戦行動が開催され、多くの若者・学生が立ち上がった。イランでは、デモ禁止令や催涙弾によるデモ鎮圧を打ち破って大学生が立ち上がっている。ロイター通信によると、「学生らは大学の外で『(イラン指導部の)聖職者たちよ、失せろ』などと声を上げた」「抗議に参加した人々は、米軍に殺害された革命防衛隊のソレイマニ司令官の写真を破った」という。こうした反政府行動は、イランの国営通信すら報道せざるをえない状況だ。イラン国営通信などによると、11日夜には、火の付いたろうそくや旅客機誤撃墜事件の犠牲者の顔写真を掲げた学生や市民らがテヘラン中心部に集結。最高指導者ハメネイを批判するスローガンや「革命防衛隊は国を侮辱した。イランから出て行け」などと叫びながら、警察によって暴力的に解散させられるまで中心部を行進したという。
中東での戦争へ参加狙う安倍政権
日本政府は12月27日、自衛隊を「調査・研究」名目で中東地域に派兵することを閣議決定している。駆逐艦1隻と哨戒機2機、隊員計260人が火薬庫同然の状態となっている地域に派兵されるのだ。すでに1月11日には、那覇基地より哨戒機が出発しており、1月中にも活動開始が予定されている。駆逐艦についても2月上旬には横須賀基地を出港し、2月中に活動を開始させるとしている。
自衛隊はすでに昨年10月から11月にかけて、ペルシャ湾における米軍主催の合同軍事演習に参加している。今回の「調査・研究」名目での派兵についても、活動範囲はホルムズ海峡より東側としているが、すでに活動を開始しているアメリカ主導の有志連合による作戦との情報共有のために、バーレーンの有志連合本部へ自衛隊幹部を派遣するとしている。実際には共同で作戦を行うということであり、ペルシャ湾での共同訓練に参加していたことを踏まえれば、米国のイラン侵略戦争への参戦さえ視野に入れていることは明らかだ。
日本の自衛隊派兵は、米トランプ政権の中東侵略戦争に加担するものに他ならない。安倍政権は、この派兵をも利用して、改憲への世論をあおり立てようとしている。日本の独占資本主義として中東に軍事介入し、石油などの中東利権を確保しようと必死になっているのだ。
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日本政府は自衛隊の中東派兵によって、中東戦争への参戦すらも狙っている。米国—イラン—全世界の民衆に続き、日本でも「自衛隊派兵阻止! 戦争反対!」の声をあげよう。世界各国で学生が反戦行動の先頭に立っている。MSL中核派と共に、すべての京大生は反戦行動に立ち上がろう! ■