【11月27日】情勢解説

*11・21、特別区人事院勧告の実施が見送られた。

*沖縄「辺野古への土砂投入の年内実現が難しい情勢」(朝日11/11)。
「埋め立てる土砂を搬出する港が損壊し、復旧が来年までずれこむ公算大」
来年2月の県民投票と合わせて、情勢はまだまだ動く。

(一)12.19日産会長・ゴーン逮捕は、帝国主義間の争闘戦の激烈さを示している。

日産自動車・ルノー・三菱自動車の3社連合は、99年にルノーに支援を仰いで資本提携してきた経過のなかで、ルノーから日産への出資比率は44%、日産からルノーへの出資比率は15%である。だが現在の日産の販売台数は581万台、ルノーは376万台。三菱自動車は、燃費偽装問題を受けて2016年に日産傘下となり、3社連合では17年自動車販売台数は世界第2位。
こうした状況で今日、ルノー筆頭株主(15%)である仏政府は、ルノーと日産を経営統合し、日産を仏国家傘下に子会社化して、仏製造業の延命と雇用確保に利用しようとした。
だが日帝にとって、自動車産業は死活的な位置をもつ。そこから「日本の側のクーデター」(ルモンド)にうって出た。ルノー側はゴーンのCEO解任をみおくり、日産に敵意をもって対抗している。
さらにこの「クーデター」において、「司法取引」がおこなわれ、日帝権力の「人質司法」がくりだされている。争闘戦の激化のなかで 、資本の利害を国家の利害としておしだすプロセスとなっている。

重要なのは、このゴーン逮捕は、階級闘争の問題だということだ。
そもそも日産・ゴーンは99年以来、日産村山工場を閉鎖し、日産労働者の14%の2万1000人のクビキリを強行、さらにリーマン以降09年にも2万人を削減している。こうした労働者の大量クビキリのうえに日産資本の延命と巨額の報酬をえていたのだ。
それはゴーンだけの話ではない。労働者階級の搾取のうえに「株価連動型」報酬によってとんでもない暴利をむさぼってきたのだ。ほんの一握りのブルジョアシーが、世界の富の大部分を支配する新自由主義の矛盾・腐敗が端的に示されているのが、ゴーンというブルジョアのあり方だった。

(二)パプアニューギニアでのAPEC首脳会議は、米中の激突・非難合戦のはてに、首脳宣言の採択断念においこまれた。採択断念は、1993年のAPEC首脳会議の発足後はじめての異常事態である。

リーマンから10年、いよいよ基軸国・米帝が「米第一主義」をかかげ、これまでのような「協調的」な「国際的枠組み」を破壊する以外に、存立できなくなったことを示している。
11月末のアルゼンチンのG20もまた、各国がその延命をかけた激しい激突の場になることは明らかだ。
それは大恐慌の再爆発と争闘戦・戦争がさらに加速化させる。

世界経済はますます、10月から11月にかけての株価暴落情勢、米中貿易戦争の激化により、急収縮せざるをえない。

(三)日本の株式市場は、NY市場に揺さぶられ、NY市場以上の暴落局面に入った。

きたる日米経済交渉は、日帝の肉と骨をそぎおとすすさまじいものとなる。とくに日帝資本の根幹である自動車産業をめぐる激突となるだろう。日本経済は、衰退・崩壊がせまっている。

7~9月の実質GDPは前期比0.3%減、年率換算でマイナス1.2%というすさまじい落ち込みである。個人消費、設備投資、輸出もマイナス、住宅投資は前年同期で6.4%。上場企業の19年3月期業績見通しは、大幅ダウン。

官製による株価のインチキな維持も限界にきている。
日銀の総資産・約553兆円が、なんと国内総生産(GDP)・約552兆円をこえた。日銀の「異次元緩和」なる「国債の日銀大量購入」で、保有額は約469兆円となる。ETF(上場投資信託)の買い入れは22兆円と限度をこえている。
13年3月末のアベノミクス・異次元緩和直前の総資産・約164兆円から、この5年あまりで約3.37倍に膨れ上がったということだ。安倍=黒田は、にもかかわらず「物価の2%上昇」を大義名分に、金融緩和を継続しようとしている。信用の崩壊は避けられない。
地方銀行では4~9月の連結決算で、7割の地銀で、最終損益が減益・赤字である。本業・不良債権、運用すべて危機的だ。地銀の破綻は「地方の崩壊」を促進させる。

(四)安倍政権は、入管法改悪を、11.27衆院法務委員会・本会議採決を強行してきている。

デタラメな調査が暴かれたことに対する野党4党の抗議欠席につけこんで、野党の質問時間にあたる時間を着席して待つ「空回し」という手法で審議時間をかせいで、強行にもちこむつもりだ。どんなデタラメであろうが、入管法改悪を今国会中に強行しようとしている。11.27衆院で強行し、11.28に参院での審議入り、さらにG20の日程を4日も早くきりあげ、参院で一刻も早く強行しようとしている。

この入管法改悪は、「労働力の受け入れ」「外国人材の受け入れ」というが、外国人労働者を「人間」として見ず、必要がなくなったらただちに使い捨て、日本からたたきだそうというものだ。そもそもこれまでの技能実習制度においても、送り出す国と日本国内にブローカーがいて中間搾取が野放しにされていた。法外な手数料をぶんどり規制もない。金でしばり、金をぶんどる。実習生の「国際貢献」や「技術の移転」などまっかなウソ。日帝政府は、国家の名で悪徳詐欺行為のかぎりを行っていた。この技能実習制度が、そのまま新制度の「特定技能1号」にうつるにすぎず、新制度はもっとひどいものとなるだろう。政府に登録した「支援機関」として、新たに国家お墨付きのブローカーが登場するのだ。戦前の「徴用工」そのものである。

入管法改悪は、オリンピックのためでもあり、日帝経済の絶望的延命のためでもある。とくにオリンピック施設の工事は大破綻している。大手ゼネコンが「濡れてに粟」の収益と搾取をする一方、下請け・孫請けのすさまじい労働力不足、過酷な低賃金と長時間労働を、現代の「徴用工」でのりきろうとするものだ。19年4.1施行が日帝としてもタイムリミットだから追いつめられ、凶暴になっている。

破滅的な方法で外国人労働者から奴隷労働を確保しようとしているが、これは外国人労働者を組織化していくことで国際連帯にとっても決定的闘いとなる。

また、安倍政権は改憲の危機を突破するため、オリンピックに続いて「大阪万博」と、さらに「北方領土返還」のみえすいたアドバルーンをあげている。いずれも国家主義をかりたてる延命策だ。

(五)11.21、民主労総の組合員16万人がゼネストに突入した。

長時間労働と賃金削減をめざす「弾力勤労制」(変形労働時間制)期間拡大阻止、全ての労働者への労組活動権保障・非正規職撤廃、公共部門の非正規職労働者の正規職転換、国民年金改革をかかげた。ゼネストの主軸は金属労組13万人。公共運輸労組からは、約1万人が参加。
ゼネスト決議文で、財閥との癒着を再び強める政府と国会への反撃を宣言。また非正規職公務員が闘いの先頭にたった。

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