「許される消費税率は0%だけだ」(東京大学支部『決戦』)

される消費税率0%だけだ

強きを助け弱きを挫く収奪制度にきっぱり No を!

(2019.11.25 MSL東京大学支部)

 

消費税は所得の少ない人ほど収入に占める負担比率が高くなる逆進性の税制であり、労働者や個人商店に大きな打撃を与える。「社会保障のため」を謳う増税の真の目的は財界・大企業の利益のための税制度の転換である。自民党政権はもはや従来の支持基盤の中小企業経営者を切り捨てでも、資本主義国家日本を延命させるための絶望的なプロセスに突入している。民衆の社会運動の力で悪質な消費税制度を終わらせよう。

 

「社会保障のため」? ご冗談を

消費税は1989年に税率3%で導入され、97年に5%に、14年に8%に引き上げられてきた。消費税収は増加傾向の一途を辿り2018年度決算では17.7兆円にものぼる。

今回の増税の理由も「社会保障のため」とされている。しかし実際には年金、生活保護の給付額が削減される一方で、年金、医療・介護の社会保険料は引き上げられ、医療・介護の自己負担分も増やされている。2019年度に「社会保障のため」に使われるのは増税による増収分5.7兆円のうち約14%に当たる8千億円程度だけだ。社会保障費そのもので見ても、本来この6年間で「自然増」すると見込まれていた額よりも1.6兆円も少ない予算しか充てられていないのだ。

この一方で法人税収は1989年度に40%だったものが、2018年度には23.2%まで引き下げられ、これに伴って収入額も19.0兆円から12.3兆円に下がっている。さらに「防衛費」は6年連続で増加し続け過去最大である。これでは消費増税は法人減税と軍拡のためであり、「社会保障のため」というのは増税を押し通すための方便であると言っても過言ではない。

そもそも社会保障というのは所得の多寡に関わらず生存権を保障するという趣旨であるはずなので、その財源としては、所得能力に応じて負担する累進性の税制に基づく制度であることは当然のことで、低所得者ほど収入の多くの割合を支払うという逆進性の消費税制度は社会保障の趣旨に反するものであることは明らかである。

 

労働者・個人商店が苦しみ、大企業は優遇

消費税の逆進性ゆえに増税は労働者の生活に打撃を与えていることは実感するところだろう。加えて消費税増税に前後してレジを「軽減税率」対応のものに更新する必要に迫られて廃業するなど、個人商店にも大きな負担となる。

しかし、消費税制度の悪質性は単に弱者に優しくないだけではない。大企業は増税で得をすることさえできるのだ。なぜなら、商品を海外輸出した場合、仕入れのために支払った消費税額が売り上げから控除される仕入れ税額控除という制度が存在するからだ。輸出企業への還付金は毎年の消費税収の25%分にものぼる。(右表、参照)

そして当然ながら税率が上がるほど還付金も増えるわけだが、大企業と中小企業との取引にあっては、その力関係によって増税しても大企業が下請けに払う“税込額”が据え置かれ、中小企業の側にしわ寄せが行われるというのはよくある話である。そして、そのしわ寄せは、そのまま大企業の利益となる。

さらに企業にとって労働者を正規職から非正規職の派遣労働者に置き換えることが重要な節税策の一つとなっている。直接雇用労働者を派遣労働者に置き換えることによって、本来の労働者への賃金の支払いにあたる部分を仕入れ税額控除の対象とすることができ、仮に派遣社員の導入にかかったコストが直接雇用労働者に払うはずだったコストと同じだったとしても消費税率分だけ納付額を少なくできる。言わずもがな、直接雇用労働者を派遣労働者に置き換えれば労働コスト自体も大幅に切り下げることが可能である。

つまり、消費税制は負担の「平等」でないどころか増税に便乗して大資本が労働者や中小企業を食い物にするシステムとして実際には機能しているのだ。

 

経団連はさらなる税率引き上げを要求

日本経団連は2003年に、「日本企業の国際競争力を高め、……海外からの直接投資を活発化させる観点から、法人税について、地方税を含めた実効税率を大幅に引き下げていくべきである」「個人や法人の収益に対して直接負担を求める所得課税と社会保険料に過度に依存する構造を是正し、……間接税のウエートを高めていくことである」と主張している。さらには消費税率を16〜18%にする例を挙げて、消費税を「21世紀における基幹となる税目」にすべきであるとしている。また、安倍政権は「基幹税として10%超の消費税を定着させるため」に「軽減税率」を導入したとも報道されている。

経団連は消費税増税をさらに推進し、社会保障を解体し、持たざるものを殺し大企業のみを生かす社会への移行を狙っている。日本の資本主義国家体制はもはや「社会保障」や「平等」という戦後民主主義国家の建前さえ放棄しており、もはや統治者としての資質はない。資本主義国家体制を終わらせ真に人民自身が統治者になるか、社会保障を切り捨てられながら戦争に総動員されて殺されるのかの選択を迫られている。

消費税廃止を叫ぼう。私たちマルクス主義学生同盟・中核派とともに資本主義国家日本に終止符を打ち、人間が人間らしく生きられる社会を作ろう。

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